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【第一回・・TEA FOR ONEマスター河野氏と 4/4

♪若きマスター@放送委員の武勇伝(2)♪
〜店内の大画面の映像はいつしか’75Earls Courtのブートレッグに・・・
J:・・・この頃は、さっきの話じゃないけど、ペイジもかなりヤク中が進んでいて、はっきり言って、プレイング見ていると、ギタープレイにおける進歩 は、ないのよ。止まっている。73年が俺が思うに、ジミー・ペイジのピークで、75年から77年と、下降線をたどっている。でもギタープレイでいう と...ある意味でのピークは、71年なんだよね。それで、つまりアルバムでいうところの4枚目が、ちょうど真ん中にあるわけ。そこから5枚目で、全く 違う音楽性に変わっていって、ペイジのプレイング自体も、72年からがらりと変わる。その「変わってからのピーク」が、73年なんだよね。そのあとはも うペイジは、ギターをプレイするっていう意味では、いわゆるミュージシャンシップで言うところのプレイングではなくなっているんだよね。
K:もっとエンターテイメントとして追求してるっていうか・・
J:そう、エンターテイメントね。
K:73年ていうのは、非常に完成されたプレイじゃないですか。でも、一番ギタープレイとしておもしろいのは71年だと思う。
J:ギター・プレイングとしてはね。ただ、楽曲としてどうか、レッド・ツェッペリンとは何ぞや、ということになると、僕らの世代は5枚目以降から後期の 曲というのを、リアルタイムに聴いているわけ。ギタリストとしてプレイすると、その時代は明らかに下降線をたどっているんだけれども。
僕らの世代は、『聖なる館』とか『フィジカルグラフィティ』を聴いて「すげぇ!こいつらのファーストって、どんなんだろう?」って、1枚目を聴いてるわ け。でも71年の来日公演を見た世代の方達は、圧倒的に3枚目までを支持されるよね。だからツェッペリンを演るうえでも語るうえでも、僕らは常に、そう いういろいろな視点があることを意識しないといけないんだよね。
K:じゃぁ、ここで聞きますけど、JimmySAKURAIにとってのツェッペリン・ベストアルバムって、どれ?
J:やっぱり、『Houses Of The Holy』。これが一番初めに買ったアルバムであって、この1曲目の『The Song Remains The Same』のギター・オーケストレーションに、もの凄い影響を受けたわけ。
K:じゃ、ベストライヴというのは?
J:ベストライヴは、これはとても難しいのだけど、やっぱりひとつの全体として、作品として良いと思うのは『狂熱のライヴ』だよね。ツェッペリン自身 は、「これは良い演奏をしていない」って言うけれど、それはねぇ〜...ホントのこと言ってない。実はすっごく良くできた演奏なの。あの日の 『Stairway To Heaven』もそうなんだけど、完成されきってるし。
K:あぁ、あれはいいよねぇ〜〜
J:『The Song Remains The Same』のソロにしても、あれはもう。
K:カッコイイねぇ〜〜〜!
J:あれを凌げるソロとってる演奏は、ないよ、うん。
K:あのね、ZEPショップをやってるとき、毎日もう一日中、ZEPの曲を流しているわけですよ、初期から後期まで、ブートからオフィシャルまで、毎 日。それで僕が、一番衝撃を受けたのがね.....『BBCセッションズ』なんですよ。
J:あぁ俺もあれは、高校1年か2年から聴いてるけど、いいよね!!
K:僕ももちろんブートは聴いたことはあったんだけど、自分が聴き始めた高校生の頃っていうのは、やっぱりアキレスとか、あっちに感化されてたから、 ブートレッグも77年とかが中心だったんだよね。
J:71年のBBCっていうのは、俺も全く同感で、73年とは、別物なのよ。Paris Theaterって、BBCの主催だからお客がほんっとに静かで、1曲終わるごとにパチパチパチ・・・って。その静寂の中で一曲ずつあのヘヴィなのを 演っていくのが・・・
K:俺ねぇ、69〜71年、あの頃の演奏って、もうパンクを連想するのよ。あの勢い、ロックってこうだ!みたいな・・・若さっていうか、パンクのような エネルギーを感じる。
J:『Dazed And Confused』なんか、凄いしね。オレが常々言ってるのは、『天国への階段』のベストは、BBCだと。あれを超えるテイクはないと思う。オリジナル の『天国への階段』の素晴らしさに感動した人が、同じくらい感動できるような、通ずるものがあると思う。73年の『狂熱のライヴ』も素晴らしいし、77 年の『Listen To This Eddie』も良いとは言われているけど・・・
K:『Listen To This Eddie』、あれは「ブートの音がよい」という意味での名盤であって、プレイヤーとしてベストなワケじゃないよね、必ずしも、"演奏"が良いわけでは ない。
J:そう。ブートレッグの名盤と言われているもので「素晴らしい演奏!」という宣伝文句のものがあるけど、中には、ただ単に他の日と違う珍しいことやっ てるっだけだったりするのもあるわけ。プレイヤーとしてオレが聴くと、「どこが?」みたいな(笑)。
K:それはすごくわかる。
J:もし揃えることで満足して、本質にある「その日の演奏の素晴らしさ」とか、その時のプレイの意味とかまで深く聴きこまないとしたら、残念だよね。
K:僕はそういう意味で・・・実は、あのZEPショップでブートレッグを売ることに、すごく抵抗があったんですよ。
ーーーそれは意外ですね。いったいどういう意味で?
K:僕は、ブートレッグを集めたりするより、「純粋にレッド・ツェッペリンという音楽を聴いて、楽しんでほしい」という思いが強くあったんですよ。だか ら、別にスタジオ盤でも、いいんですよ。ライヴなら、ブートレッグ買う前に、『狂熱のライヴ』を聴きこみなさい!って思う。
J:それは、まさにそうだね!
K:それからブートレッグ買うなら、オレは71年のこれかな、っていう勧め方をしていた。なんか「あ、コレ持ってないから全部集める」みたいな買い方さ れるともう、辛くなっちゃう(笑)。
J:オレもさ、「ジミーさんのことだから、ブートレッグたくさん持ってらっしゃるんでしょうね〜」とか言われるけど、実はそんなでもないわけ。各年代数 枚ずつ、しかもほとんど、音の良いものやギタープレイの参考になるものしか持ってない。僕の場合は、所有する喜びの前に、聴いてトリビュートするという 命題があるから、その視点で言ったら、今持っている数枚についてさえ、まだ完全には聴き込めていないと思ってる。聴けば聴くほど深いしね、新しい発見が あったり。なのにその上「まだこんなのもありますよ」と出されても、とても消化しきれないって感じかな・・・。
K:あれだけかなりの数のライヴを、やっているわけだしね。それを全部調べ上げるただの学者みたいになったって、つまらないよね。
J:あのね、TEA FOR ONEに登録してくださる方や、BBSでも、「あまりツェッペリンのこと詳しくなくて・・・こんな質問スミマセン」なんて方がいらっしゃるんだけど、も う、そんなこと、ぜーんぜん関係なくて。
K:そうそう、それを質問しづらいような雰囲気を作り上げたら、ぜったいダメだと思うし...この輪をそういう場にはしたくないし。むしろどんどん、そ ういう質問をしてほしいよね!
・・・お察しの通り、まだまだ二人の語らいは続きましたが、第1回の対談はこのへんでおひらきです。


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(c) MR.JIMMY